脇の下のしこりは乳がん?女性が知っておくべき「動く・硬い」の見分け方と受診目安
「着替えているときに、ふと脇の下に違和感を感じた」
「触ってみたら、コリコリとしたしこりがある……これって乳がん?」
女性にとって、脇の下のしこりは非常に不安を感じさせるものです。「もし悪い病気だったらどうしよう」と、一人で悩み込んでしまう方も少なくありません。
しかし、脇の下のしこりには、今すぐ治療が必要なものから、ホルモンバランスの影響による一時的なものまで、さまざまな原因があります。大切なのは、そのしこりが「どんな特徴を持っているか」を冷静に見極めることです。
この記事では、脇の下のしこりについて、自分で行う見分け方のポイントや考えられる原因、そして病院へ行くべきタイミングを詳しく解説します。
1. 脇の下のしこりと「乳がん」の関係
まず、多くの方が一番に心配される「乳がん」と脇の下のしこりの関係についてお伝えします。
乳がんは、乳房の中で発生したあと、まず「腋窩(えきか)リンパ節」と呼ばれる脇の下のリンパ節に転移しやすいという特徴があります。そのため、脇の下にしこりを感じたことがきっかけで乳がんが発見されるケースがあるのは事実です。
しかし、「脇の下にしこりがある=乳がん」というわけではありません。 脇の下にはリンパ節だけでなく、脂肪組織や汗腺、さらには「副乳(ふくにゅう)」と呼ばれる乳腺の一部が存在しているため、良性の腫瘍や炎症であることも非常に多いのです。
2. 【セルフチェック】「動く・硬い」で見る見分け方
しこりに触れたとき、以下の3つのポイントを意識して確認してみてください。これらは医師に症状を伝える際にも非常に重要な情報になります。
① しこりの硬さは?
硬い(石や軟骨のような硬さ): 注意が必要です。周囲の組織に癒着している場合、指で押しても動かないことがあります。
柔らかい(消しゴムや脂肪の塊のような弾力): 脂肪腫(しぼうしゅ)や、一時的に腫れているリンパ節の可能性があります。
② 指で触ると動くか?
動く: 指で押したときに、つるんと逃げるように動く場合は、良性の腫瘍(線維腺腫など)やリンパ節の腫れである可能性が高いと考えられます。
動かない: 周囲に固定されているような感覚がある場合は、注意深く観察し、早めに専門医を受診しましょう。
③ 痛みはあるか?
痛みがある: ズキズキとした痛みや、押したときの痛みがある場合は、細菌感染による炎症(毛嚢炎など)や、生理周期に伴う副乳の腫れであることが多いです。
痛みがない: 実は、痛みがないしこりの方が注意が必要です。乳がんの転移によるリンパ節の腫れは、初期段階では無痛であることが多いためです。
3. 脇の下にしこりができる「乳がん以外」の原因
「しこり=がん」と思い込んでパニックにならないために、女性によく見られる良性の原因を知っておきましょう。
副乳(ふくにゅう)の腫れ
人間も進化の過程で、本来退化したはずの乳腺が脇の下に残っていることがあります。これが「副乳」です。通常の乳房と同じようにホルモンバランスの影響を受けるため、生理前や妊娠・授乳期に大きく腫れたり、コリコリとしたしこりとして感じられたりします。
粉瘤(ふんりゅう)・毛嚢炎(もうのうえん)
脇の下は汗をかきやすく、ムダ毛の自己処理も行う場所です。毛穴に細菌が入って炎症を起こしたり(毛嚢炎)、皮膚の下に袋ができて老廃物が溜まったり(粉瘤)することで、しこりのような塊ができることがあります。
腋窩リンパ節炎
風邪を引いたり、指先にケガをしたりした際に、体内の免疫システムが働いて脇のリンパ節が腫れることがあります。これは体が細菌やウイルスと戦っている証拠であり、体調が戻れば自然と消えていくのが特徴です。
脂肪腫(しぼうしゅ)
脂肪の細胞が増殖してできる良性の腫瘍です。全身のどこにでもできますが、脇の下にできることもあります。非常に柔らかく、ゆっくりと大きくなるのが特徴で、基本的に痛みはありません。
4. 病院を受診するべき目安と診療科
どれだけ自分でチェックしても、自己判断には限界があります。以下のような症状がある場合は、迷わず受診を検討してください。
すぐに病院へ行くべきサイン
しこりが明らかに硬く、指で押しても動かない
1ヶ月以上経っても、しこりが小さくならない、あるいは大きくなっている
脇の下だけでなく、乳房にもしこりやくぼみがある
乳頭から分泌物が出る
しこり周辺の皮膚が赤く腫れ、熱を持っている
何科に行けばいい?
女性の場合、まずは**「乳腺外科」**の受診を強くおすすめします。
乳腺外科では、マンモグラフィや超音波(エコー)検査を用いて、しこりの正体が乳腺に関わるものか、あるいは単なるリンパ節の腫れなのかを正確に診断してくれます。
もし、皮膚の表面が赤く腫れていたり、ニキビのような痛みがある場合は、皮膚科が適していることもありますが、判断に迷う場合は乳腺外科を選ぶのが最も安心です。
5. 不安を和らげるために日常でできること
脇の下の違和感に気づいたとき、検索ばかり繰り返すと不安は増大してしまいます。
記録をつける
しこりに気づいた日付、生理周期との関係(生理前に大きくなるかなど)、痛みの有無をメモしておきましょう。これは診察時に非常に役立ちます。
適切な下着選び
締め付けの強すぎるブラジャーは、脇周辺のリンパの流れを悪くし、違和感や不快感の原因になります。体調が優れないときは、ゆったりとしたノンワイヤーのものを選ぶなど、体を労わってあげましょう。
6. まとめ:冷静な確認があなたの健康を守る
左脇や右脇の下に突然現れるしこり。驚いてしまうのは当然ですが、その多くは良性のものです。しかし、「ただの疲れだろう」「生理のせいだろう」と放置しすぎるのも禁物です。
「動くか、硬いか、痛みはあるか」
このポイントをチェックし、少しでも違和感が拭えないのであれば、専門医の診察を受けることが、最大の安心への近道です。何もなければそれで安心できますし、万が一何かあっても早期発見であれば、現代の医療では多くの選択肢があります。
自分の体を愛しみ、変化に気づけた自分を褒めてあげてください。そして、そのサインを無視せず、適切なケアへとつなげていきましょう。
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