介護保険で買える「特定福祉用具」とは?対象品目と購入時のポイントを解説
在宅介護を支える心強い味方である「福祉用具」。車椅子や介護ベッドのように「借りる(レンタル)」のが一般的なものもあれば、肌に直接触れるものや衛生面が気になるものについては「購入」が基本となります。
介護保険制度を利用して購入できるこれらの用具は「特定福祉用具」と呼ばれ、1年度につき最大10万円(税込)までの購入費に対して、所得に応じた給付(7〜9割)を受けられる仕組みがあります。
しかし、「何でも対象になる」わけではありません。この記事では、介護保険で購入できる対象品目と、賢く利用するためのポイントを詳しくまとめました。
1. 介護保険で購入できる「特定福祉用具」の全対象品目
現在、介護保険の給付対象となっているのは以下の品目です。令和6年からは、これまでレンタルのみだった一部の用具も「選択制」として購入できるようになりました。
① 腰掛便座(ポータブルトイレなど)
和式便器の上に置いて洋式のように使える変換便座。
洋式便器の高さを補うための補高便座。
居室で使える持ち運び可能なポータブルトイレ。
② 入浴補助用具
入浴用いす:シャワーチェア。
浴槽用手すり:浴槽の縁に挟んで固定するもの。
浴槽内いす:浴槽の中に置いて立ち上がりを楽にするもの。
入浴台(バスボード):浴槽の縁にかけて座りながら移動するための台。
浴室内・浴槽内すのこ:洗い場の段差解消や、浴槽の底上げ用。
入浴用介助ベルト:介助者が持ち手として掴み、動作を支えるベルト。
③ 簡易浴槽
工事不要で、空気式や折りたたみ式などの移動可能な浴槽。
④ 自動排泄処理装置の「交換可能部品」
尿や便の経路となるレシーバー、チューブ、タンクなどの部品(※本体はレンタル対象)。
⑤ 移動用リフトの「つり具」
体を持ち上げる際に使用するシート状の部品(※リフト本体はレンタル対象)。
⑥ 排泄予測支援機器
超音波等で膀胱内の状態を検知し、排泄のタイミングを予測して通知する機器。
⑦ 選択制(レンタルか購入か選べる)の用具
以下の3つは、身体状況や住環境に応じて「借りる」か「買う」かを選択できます。
固定用スロープ:玄関先などの段差に置くもの。
歩行器:車輪のない、固定式または交互式のもの。
歩行補助つえ:松葉杖を除く、多点杖やロフストランドクラッチなど。
2. 知っておきたい!購入費用の仕組みと注意点
特定福祉用具の購入には、いくつかの重要なルールがあります。
1年度の限度額は「10万円」
毎年4月1日から翌年3月末日までの1年間で、合計10万円(税込)までが給付の対象です。この範囲内であれば、自己負担額(1〜3割)だけで購入できます。10万円を超えた分は、全額自己負担となります。
「指定」を受けた事業所で購入すること
ホームセンターやインターネット通販などで勝手に購入しても、介護保険の給付は受けられません。必ず都道府県等の指定を受けた「特定福祉用具販売事業者」から購入し、専門職である「福祉用具専門相談員」のアドバイスを受ける必要があります。
同じ品目を何度も買うことはできない
原則として、同じ年度内に同じ種類の用具を複数購入することは認められません。ただし、壊れてしまった場合や、身体状況が著しく変化して以前のものが合わなくなった場合などは、例外的に認められることがあります。
3. 購入手続きの2つの支払い方法
自治体によって、初期負担を抑えられる方法が選べる場合があります。
償還払い:一度、全額(10割)を支払い、後で自治体に申請して給付分(7〜9割)を返してもらう方法。
受領委任払い:最初から自己負担分(1〜3割)だけを支払い、残りの給付分は事業所が自治体から直接受け取る方法(※自治体や事業者によって対応が異なります)。
どちらの方法が利用可能か、事前にお住まいの市区町村の窓口やケアマネジャーに確認しておくとスムーズです。
4. 失敗しないための「選び方」のコツ
福祉用具は、使う本人の身体能力と、介助する方の負担軽減のバランスが大切です。
デモ機で試す:特にシャワーチェアや歩行器などは、実際に座ったり歩いたりしてみるのが一番です。高さや重さが合っているか確認しましょう。
手入れのしやすさ:排泄や入浴に関連する用具は、汚れにくく、掃除がしやすい素材のものを選ぶと清潔に使い続けられます。
住宅改修との組み合わせ:手すりの設置(住宅改修)と、入浴台の購入(福祉用具購入)を組み合わせることで、より安全な環境が作れます。
まとめ:プロのアドバイスを最大限に活用しよう
福祉用具は、適切に選べば「自分でできること」を増やし、家族の介護負担を大きく減らしてくれます。対象品目かどうか迷ったときや、どの製品が良いか分からないときは、決して一人で判断せず、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談してください。
彼らは単なる販売員ではなく、利用者の生活を支えるパートナーです。今の状況だけでなく、少し先の未来も見据えた最適な用具選びを行い、安心で快適な在宅介護生活を整えていきましょう。
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