🏥💰シニアの婚活:再婚後の医療費・介護費に関する共有知識と準備


シニア世代の婚活において、「再婚」は新たな幸福な人生の始まりを意味しますが、同時に医療費介護費用といった経済的なリスクを、お互いがどう分担し、どう備えるかという現実的な課題も伴います。特に、高齢になると医療や介護の必要性が高まるため、これらの費用に関する知識と夫婦間の明確な合意は、円満な再婚生活を送る上で不可欠です。

ここでは、シニアカップルが再婚後に直面する可能性のある医療・介護費用について、事前に共有しておくべき重要な知識準備を解説します。


1. 🏥 医療費負担の原則と高額療養費制度

再婚後も、基本的に医療費の自己負担の原則は変わりませんが、高額な医療費がかかる場合に備えて制度を理解しておく必要があります。

1.1. 個人の医療保険証と自己負担額の原則

  • 原則: 再婚後も、夫婦それぞれが加入している国民健康保険または後期高齢者医療制度(75歳以上)の被保険者証を使用します。医療費の自己負担額(原則1割~3割)は、夫婦それぞれの収入や年齢に応じて個別に決定されます。

  • 注意点: 夫(または妻)が被扶養者になることは、シニアの場合、退職後のためです。多くのシニアカップルは独立した保険を持つことになります。

1.2. 高額療養費制度の適用(世帯合算の可能性)

  • 制度の概要: 医療費の自己負担額が上限額を超えた場合、超過分が払い戻される制度です。

  • 世帯合算の可能性:

    • 夫婦が同一世帯(住民票を同じにする)同じ公的医療保険に加入している場合、世帯全体の自己負担額を合算して高額療養費の限度額を計算できます。

    • これにより、個々で支払うよりも自己負担額が軽減される可能性がありますが、夫婦どちらかの収入が高い場合、高額療養費の上限額も高く設定される(負担増になる)可能性も考慮が必要です。

💡 事前に確認すべきこと:

  • 再婚後に住民票を一緒にするかどうか。

  • 再婚後の高額療養費の上限額がどうなるか、市町村の窓口でシミュレーションすること。

2. 👵 介護保険サービスと費用の分担

介護保険サービスは、原則として個人の資産に基づいて利用されますが、再婚家庭特有の財産管理の課題があります。

2.1. 介護保険サービスの自己負担

  • 原則: 40歳以上が加入する介護保険により、要介護認定を受ければサービスを利用できます。自己負担は原則1割(所得に応じて2割または3割)です。

  • 高額介護サービス費: 介護サービス費の自己負担額が上限額を超えた場合、払い戻しがあります。これも世帯単位での合算が可能です。

  • 世帯合算の考慮点: 夫婦が同一世帯で暮らす場合、介護サービス費の上限額も世帯収入に基づいて決まります。夫婦間の収入差が大きい場合、合算によって負担が変動する可能性があります。

2.2. 再婚相手の介護費用を負う「扶養義務」

  • 民法上の扶養義務: 結婚すると、民法上、夫婦には互いを扶養する義務(生活を助け合う義務)が生じます。

  • 現実的な影響: 夫または妻が将来、高額な自費での介護施設(高級有料老人ホームなど)に入所する場合、配偶者の財産がその費用を負担するよう求められる可能性があります。これは自身の老後の資金計画に影響を与えます。

3. 📝 再婚前の「金銭的な合意」と準備

医療・介護費用は高額になるリスクがあるため、再婚前にオープンな話し合い明確な取り決めをしておくことが、後のトラブルを防ぎます。

  • 資産状況の共有: 夫婦間で、お互いの貯蓄額、年金受給額、加入している医療保険、生命保険の状況を正直に共有する。

  • 介護費用の取り決め:

    • 各自の費用は各自の資産で賄う」という独立採算制にするか、「共通の資金から出す」かを明確に合意する。

    • 特に、前婚の子どもに残したい財産(遺産)がある場合、再婚相手の介護費でその財産が目減りしないよう、財産管理について明確なルールを設ける。

  • 任意後見契約の検討: 将来、認知症などで判断能力が低下した場合に備え、お互いの財産管理医療・介護の手続きを誰が行うか(配偶者か、前婚の子か)を定めた任意後見契約を検討する。

再婚は愛と経済の契約:

シニアの再婚は「」と「経済的な契約」の両面を持ちます。医療費や介護費は特に**「愛だけでは解決できない」問題です。お互いの終末期までを見据えた現実的な話し合い準備**こそが、シニア婚活で最も重要な「共有知識」です。