💰シニア再婚で年金はどう変わる?「遺族年金と加給年金」の支給額シミュレーション


シニア世代の婚活において、**「年金」は、お互いの経済的な安定性に関わる最も重要な要素の一つです。特に、どちらかが「遺族年金」**を受給している場合、再婚によってその受給資格を失い、家計全体で受け取る年金総額が大きく変わる可能性があります。

「結婚したいけれど、年金が減るのが怖い」という不安を解消するため、この記事では、シニアの再婚が年金に与える具体的な影響を解説し、**「支給額が最も有利になるケース」「支給停止になるケース」**を明確にシミュレーションします。

これは複雑なテーマですが、不安なく再婚に踏み出すための必須知識として、ぜひご確認ください。


🚨再婚で最も影響を受ける「2大年金」

シニアの再婚で年金の支給額に最も影響を与えるのは、以下の2種類の年金です。

影響を受ける年金再婚による変化概ねの年額(2025年度目安)
遺族年金 (基礎・厚生)原則として受給権を失う(結婚・事実婚含む)遺族基礎年金:約83万円 + 遺族厚生年金
加給年金 (老齢厚生年金の加算)受給要件を満たす配偶者ができると加算される年額約41.6万円 (配偶者加算額。新規受給者は引き下げ傾向あり)

1. 【最大の懸念点】遺族年金の支給停止シミュレーション

遺族年金は、**「残された配偶者の生活保障」**を目的としているため、再婚(事実婚含む)により「新たな配偶者から生活保障を受ける」と見なされ、原則としてその時点で受給権を失います

シミュレーション例:夫を亡くした妻(65歳以上)のケース

前提条件:

  • 妻(68歳):老齢基礎年金(自分の年金)を全額受給中。

  • 妻:亡くなった夫の遺族厚生年金を受給中(夫の厚生年金の3/4が支給されていると仮定)。

  • 妻の遺族厚生年金:年額 60万円

ステップ年金総額(妻)再婚による影響
再婚前老齢基礎年金(約83万円) $+$ 遺族厚生年金(60万円)= 合計 約143万円遺族年金の併給調整を受けながら、合計143万円を受給中。
再婚後老齢基礎年金(約83万円)のみ + 新しい夫の加給年金(要件次第)遺族年金(60万円)の受給権が消滅。年金総額が大きく減る。
差額-60万円遺族年金の受給権を失った分の年収が減少する。

【重要な例外】

  • 再婚相手が亡くなっている夫の直系血族(例:夫の孫)の養子になった場合、受給権は消滅しません(ただし、実生活でほぼ発生しないケースです)。

  • また、遺族年金を受給している子が、その遺族年金を受給する配偶者(親)の再婚を理由に支給停止されることはありません。


2. 【再婚のメリット】加給年金・振替加算の可能性

老齢厚生年金を受給している夫または妻が、再婚相手と要件を満たした場合、年金額が増える可能性があります。

加給年金(配偶者加算)の加算シミュレーション

  • 加算される人: 厚生年金に20年以上加入し、65歳に到達した時点で**「生計を維持する年下の配偶者(原則65歳未満)」**がいる場合に、自分の老齢厚生年金に加算される。

  • 影響: 再婚相手がこの要件を満たしていれば、再婚した側(受給権者)の年金が年額約41.6万円(2025年度目安)加算される。

  • 事例: 65歳の夫が63歳の妻と再婚した場合、夫の老齢厚生年金に加給年金が加算される(妻が65歳になるまで)。

ケース夫の年金への加算額(年間)備考
再婚前0円加算対象の配偶者がいないため
再婚後約416,000円夫が老齢厚生年金を受給中。再婚した妻が65歳未満で、妻自身の老齢厚生年金の加入期間が一定未満の場合。

【注意点】

  • 加給年金は、再婚相手が65歳になるまでの間の加算です。

  • 配偶者自身が一定期間(原則20年以上)の厚生年金加入期間に基づく老齢年金を受給できるようになると、加給年金は支給停止となります。


3. 【結論】損得を判断する「最終チェックポイント」

シニア再婚で年金面で「損をするか得をするか」は、以下の計算式と判断基準で決まります。

再婚による年金損得計算式

$$\text{再婚後の年金総額} = \text{(自分の老齢年金)} + \text{(再婚相手の年金)} + \text{(加給年金の有無)}$$
$$\text{再婚前の年金総額} = \text{(自分の老齢年金)} + \text{(遺族年金の有無)}$$

再婚後の総額が、再婚前の総額を上回るかどうかが判断基準となります。

再婚の判断基準

年金受給の状況再婚が有利になるケース再婚が不利になるケース(注意が必要)
遺族年金夫婦のどちらも遺族年金を受給していない場合。夫婦のどちらか一方、または双方が遺族年金を受給している場合(多くの場合、支給額が減る)。
加給年金年齢差があり、年金を多く受給する側が年上で、加給年金の要件を満たせる場合。夫婦の年金額がほぼ同等で、加給年金の加算が見込めない場合。

🌟まとめ:不安なく再婚するためのステップ

年金は複雑ですが、再婚による影響を事前に知っておけば、不安は解消されます。

  1. 現状の把握: **ご自身の「老齢年金」「遺族年金」**の正確な受給額を年金定期便などで確認する。

  2. シミュレーション: 遺族年金の受給がなくなることによる減額分と、再婚による加給年金等の加算見込額を比較する。

  3. 専門家への相談: 再婚を決める前に、社会保険労務士年金事務所で、具体的な状況に基づいた正確な影響額を必ず確認する。

年金による経済的な安心は、新しいパートナーシップの基盤となります。不安を解消し、幸せなセカンドライフへの一歩を踏み出しましょう!