体外受精の「ふりかけ法」受精率と、受精しない原因・対策
体外受精(IVF)を検討されている方にとって、「ふりかけ法」という言葉を耳にする機会があるかもしれません。これは、体外受精における受精方法の一つで、精子の力を活かした自然に近い方法です。
この記事では、ふりかけ法の受精率について、そしてもし受精しなかった場合に考えられる原因や、次に取るべき対策を分かりやすく解説します。
「ふりかけ法」とは?
「ふりかけ法」とは、採卵によって得られた卵子の周囲に、調整した精子をふりかけ、精子自身の力で卵子に到達して受精するのを待つ方法です。正式には「Conventional IVF」と呼ばれます。
自然妊娠と同じように、たくさんの精子の中から最も元気な1つの精子が自力で卵子の殻(透明帯)を破り、卵子内に入るのを促すため、より自然な受精に近い方法と言えます。
ふりかけ法の受精率はどのくらい?
ふりかけ法の受精率は、一般的に60〜80%程度と言われています。しかし、これはあくまで目安であり、クリニックや患者さまの状況によって大きく異なります。
良好な精子と卵子: 精子の数や運動率が良好で、卵子の質も良い場合は、高い受精率が期待できます。
年齢: 年齢が上がると、卵子の質が低下する傾向にあるため、受精率が下がる可能性があります。
ふりかけ法で受精しないのはなぜ?
もし、ふりかけ法で受精しなかった場合、考えられる主な原因は以下の通りです。
精子の問題
精子の数や運動率が低い: 卵子にたどり着ける精子が少ないため、受精が起こりにくくなります。
精子の形態に異常がある: 運動性が高くても、形に問題がある精子は受精しにくいことがあります。
受精能力の問題: 見た目や運動性に問題がなくても、精子自体が卵子を活性化させる能力を持っていない場合があります。
卵子の問題
卵子の成熟度が低い: 卵子が未熟な場合、精子が侵入できる状態になっていないため、受精が成立しません。
卵子の透明帯が硬い: 卵子の周りを覆う透明帯(殻)が厚かったり硬かったりすると、精子が自力で入り込むことが難しくなります。
もし受精しなかったら…次のステップは?
ふりかけ法で受精しなかった場合でも、まだ諦める必要はありません。次のステップとして「顕微授精(ICSI)」が選択肢となります。
顕微授精(ICSI)とは?
顕微授精は、顕微鏡下で卵子に直接1つの精子を注入して受精させる方法です。精子を人の手で卵子に届けるため、精子の数や運動率に問題がある場合や、ふりかけ法で受精しなかった場合に有効な方法です。
顕微授精の受精率は、ふりかけ法よりも高く、一般的に80〜90%程度と言われています。
レスキューICSIという選択肢
クリニックによっては、ふりかけ法を行った後、一定時間経過しても受精が確認されない場合に、顕微授精を追加で行う**「レスキューICSI」**という方法を提案されることもあります。これにより、受精卵を得るチャンスを増やすことができます。
まとめ
体外受精の「ふりかけ法」は、自然妊娠に近い方法ですが、精子や卵子の状態によっては受精しないことがあります。
もし、ふりかけ法で受精しなくても、次の選択肢として「顕微授精」があります。まずは、ご自身の状況を医師としっかりと相談し、最適な治療法を見つけることが大切です。