「捕鯨」ってどんなこと？ 日本と世界のクジラのお話

「捕鯨（ほげい）」という言葉を聞くと、どんなイメージが浮かびますか？ 日本では昔から食文化の一つとしてクジラが親しまれてきましたが、世界ではさまざまな意見があります。

今回は、そんな「捕鯨」を取り巻く状況について、難しく考えずに、日本の立場や世界の動きを一緒に見ていきましょう。クジラとの共存、そして持続可能な海の恵みについて考えるきっかけになれば嬉しいです。

日本とクジラ、昔からのつながり

日本は、古くからクジラを大切な食料源として利用してきました。お肉だけでなく、余すところなく利用する文化は、日本の「もったいない」精神にも通じるものがあります。クジラは、私たちにとって貴重なタンパク源であり、地域の文化や暮らしにも深く根ざしてきました。

日本は、このクジラという資源を、海の他の生き物と同じように、科学的なデータに基づいて、持続可能な形で利用していくべきだと考えています。つまり、「獲りすぎず、資源を枯渇させないように、適切に利用していく」という考え方ですね。

国際捕鯨委員会（IWC）ってどんな組織？

世界には、「国際捕鯨委員会（IWC）」という、クジラの資源を管理するための国際的な組織があります。このIWCは、クジラの保護と持続可能な利用を目指して、各国の意見をまとめる役割を担っています。

以前、IWCでは「商業捕鯨の一時停止（モラトリアム）」というルールが決められました。これは、大型のクジラを商業目的で獲ることを一時的にやめましょう、というものです。日本は、このモラトリアムが科学的な根拠に基づいて見直されるべきだと主張してきました。

日本がIWCを脱退した理由

長年の議論の結果、日本はIWCの科学に基づいた資源管理へのアプローチに限界があると感じ、2019年にIWCを脱退し、翌日から商業捕鯨を再開しました。

これは、決して「クジラを獲り放題にする」という意味ではありません。日本は、IWCを脱退した後も、国際的なルールや科学的なデータに基づいて、日本の領海や排他的経済水域（EEZ）内で、クジラの資源状況をしっかり見ながら、決められた量を捕獲しています。

国際司法裁判所（ICJ）の判決と日本の捕鯨

かつて、南極海で行われていた日本の調査捕鯨について、国際司法裁判所（ICJ）が判決を出したことがあります。この判決は、日本の調査捕鯨の方法や実施について一部懸念を示しましたが、同時に、IWCがクジラ資源の持続可能な利用を目指しているという日本の主張も認める内容でした。

この判決を受けて、日本は調査捕鯨の方法を見直し、より科学的な根拠に基づいたアプローチを追求してきました。

クジラとの共存、未来へつなぐために

捕鯨を取り巻く状況は、国によって考え方が異なり、時に複雑に見えるかもしれません。しかし、根底にあるのは、「海の恵みをどう未来へつないでいくか」という大切な問いです。

日本は、クジラも海の生態系の一部であり、適切な管理のもとで利用されるべき資源であると考えています。これからも、科学的な知見を積み重ね、国際社会との対話を続けながら、クジラとの共存、そして海の豊かな未来を築いていく努力が続けられています。

私たちも、海の恵みに感謝し、その背景にある文化や議論に目を向けることで、より海のことを深く理解できるはずです。